42歳での妊娠、切迫早産の長期入院を経て無事に出産し育児に邁進してきましたが、
子供も小学生になりました。
子供が小学生になると若いママ友たちは競うようにパートで働きに出るようになりました。
うちは夫が介護タクシーを自営業でやっているので、
夫を助けることに時間的にも忙しいので、普通の専業主婦とも少し違うのですが、
それでも専業主婦でいることに負い目を感じる今日この頃です。
専業主婦でいるわけは・・・
私も結婚前は正社員で事務の仕事をしていました。
小学校のPTAで広報をやってわかったのですが、意外にも若いママたちがパソコンを使えない人が多いのです。
私が事務職で培った事務処理能力も意外に戦力になることがわかりました。
しかし、もともと婦人科系の持病もあり、関節を痛めていることなど、体の弱さを抱えていたので、
独身時代は無理して働いていましたが、パワハラもある職場だったので、結婚を機に辞めたのでした。
夫も、私がその会社で仕事を続けることには反対でした。
専業主婦でいる理由のひとつは自分の体の弱さですが、
本音としては、「家族の命を支える主婦業に生き甲斐を感じているから」なのです。そして、
「子供の人生を根底から支える縁の下の力持ちとして、育児に最高の価値を感じるから」です。
世間は専業主婦に風当たりが強い?
出産後、まだ乳離れしていない娘を前抱っこして自宅周辺を歩く私に、
近所のおばあちゃんたちがいろいろ話かけてくれましたが、
口を揃えたようにみなさん「早く子供を手放しなさい、保育園に早く入れればいいのよ」と言うのです。
よく話を聞いてみると、若い頃ずっと働いていた人ばかりでした。
専業主婦は怠け者で過保護な母親とされているのでした。近所のおばあちゃんだけではなく、おじいちゃんも
「あんた働かないのか」と言ってきました。
母乳育児は夫の助けのもとで成功
近所の声は負担になりましたが、出産前の長期入院のこともあってすっかり体力が落ちていた私は、
乳飲み子を抱えて外に働きにいくのはとても無理でした。
母乳育児でしたので、40代の体には負担が大きく、夜間授乳で超寝不足だし、いつも激しく喉が渇き、母乳をあげる体勢で腰痛、肩凝りもひどく、腱鞘炎は当たり前のこと、疲労から膀胱炎も慢性化し、抱き上げたときに膝も痛め、文字通りボロボロの体でした。夫が私を接骨院に車で連れていってくれたこと、産後ウォーターサーバーを自宅に備えてくれたことはほんとうに助かりました。
私は完全母乳にこだわる気はなかったのですが、娘が粉ミルクを嫌って怒り、母乳だけを喜ぶので、
その求めに必死に応じてのことです。
そんなにたくさん母乳が出てはいなかったのですが、母性とか愛情ホルモンは不思議なもので、
泣いたらあげる、泣いたらあげる、を繰り返すうちに、ほんとうに母乳が出るのです。
親戚の人に、抱き過ぎと非難されたのですが、私は娘の求めを信じて、抱き過ぎなくらい抱きました。
母乳育児が愛情、免疫など赤ちゃんのすべてに大切さであることを知っていたので、
体力の限りを尽くして娘に命を注ぎ込みました。
夫が元気に働いてくれているからこそ、夫の羽の下で守られて母乳育児ができることは幸せなことです。
おうちによっては、いろいろな事情があってママが産後すぐにどうしても働かないといけない状況もありますから。
うちでは夫が買い出しに必ず同行してくれましたし、洗濯やお皿洗いを助けてくれるのは嬉しいことでした。
特に買い物は、紙おむつやトイレットペーパー、テッシュボックス、お米など
重い物は夫がいるときでないと運べない体でした。
夫は離乳食作りも興味をもって、野菜や魚をすりつぶしてくれました。
専業主婦の価値を認める園長先生
そうこうしているうちに、娘も成長し、幼稚園に入って少し手が離れてきたのですが、
子供が幼稚園に入ると仕事を始めるママも出てきます。
園長先生と世間話をしたとき、「働くママが多いのに、私は体が弱くて専業主婦だから、なんだかダメな母親に感じるのです」と話しました。
園長先生は、「専業主婦は大事よ」と言われました。そして、「うちの幼稚園では、子供が2歳ぐらいまではお母さんがお母さんになる時期として大事だから、よその幼稚園のようにヒヨコ組で2歳の子をあずかることはしないの。まだお母さんから子供を離しちゃいけない時期だからね。」と言われました。
私はやっと家庭の外で専業主婦を認める人に出会えたと思いました。
園長先生自身、二人の子を出産したあとそれぞれ2年間は、幼稚園の仕事を休んで、
育児に没頭していたそうです。
状況が許されるなら、2歳までは子供にしっかり関わって自分もお母さんとして成長するのが幸せなことです。
母子関係がその後の人生の基盤になる
私自身、実母との関係が薄いという生い立ちがありました。
しかし、学校の先生に恵まれて、愛情をたくさん受けることができたことから、将来は教師になりたいと願いました。
学生の頃、教育心理学や青年心理学の授業で、母子関係が最初の人間関係として、赤ちゃんの発達のために大切なものになると知り、衝撃を受けました。
私は実母からの愛は希薄でしたが、祖母が赤ちゃんの頃からよくおんぶしたまま草刈りをしたり、
トイレトレーニングもお世話してくれたり、私にはその頃の記憶がいくつかしっかりあるのです。
祖母が実質的な母親になっていました。
しかし、実母の愛が希薄であることは、成長過程において影を落とし、不安や自信のなさにつながりました。
本能的な渇きがありました。
ですから、娘を授かったとき、母として何に変えても娘の土台になろうと思いました。
仕事をとるか、育児をとるか、その両方か・・・
私は迷わず育児を第一にしましたし、夫がそれを認め、望んでくれました。
妻として、そして、母として、一番応援して尊敬してくれるのは夫です。
お母さんになって良かった・・・!
高齢出産ですから、母ではないひとりの女という人生が長かったのですが、
娘を産んで母となって、スーパーなど外出先で男性からの視線に良い変化を感じました。
出産前は、すれ違う男性から女として見られている視線しか感じなかったのですが、
出産後、ベビーカーを押して悠然と歩いていると、すれ違う若い男性からも年配の男性からも、母としての尊敬のまなざしを向けられることが圧倒的に増えました。出産して社会的に認められたような、暖かい居心地の良さを感じました。妊娠中も駅のホームで、おじいさんにわざわざ呼び止められて、席を譲っていただいたことがありました。
結婚前は職場で男性上司や男性の同僚からパワハラを受けていましたから、男性の暖かい視線は敏感に感じ分けることができるようになっていたのです。
専業主婦であって家庭にいても、母として世の中の男性たちから認めてもらうのは、社会権を得たような誇りを感じます。
そして、家庭では夫が私を尊敬してくれているというのは、自分の存在にほんとうに大きな力になります。
専業主婦に一番キビシイのはママ友?
娘が小学生になると、仕事に出るママ友がさらにぐんと増えます。PTAの広報をやったとき、「私は毎日仕事に行っている身なのでのんびりしている暇はないの」と何度も言ってくるお母さんがいました。「子供が一人じゃないから忙しい」とも言われ、専業主婦で子供がひとりの私は肩身が狭い思いをしました。
くじ引きで広報委員長を押し付けられていたのですが、専業主婦の私が意外にパソコンができるということが嫉妬されていじめを受けたので、教頭先生に相談して、前期の広報誌完成後はPTA広報活動の参加をやめました。
また、まだ赤ちゃんの弟妹がいて手がかかるママも、PTA選出を断る理由には認められません。
PTAは子供のためのはずなのに、育児優先ということは有り得ないのでした。
午前中など時間限定のパートであっても仕事をしていると物凄く有能な偉いお母さんという評価をされます。
うちは自営業ですから、時間は不規則で夫をいろいろ助けなければならないのですが、
家にいるということで、楽をしているとか怠けている扱いをされるのです。
なぜそんなに忙しくしていなければならないのでしょうか。
忙しいのが有能な証拠と勘違いされているのではないでしょうか。
実は小学生になると、ほんとうにママが必要です。
教育カウンセラーの諸富祥彦(もろとみ よしひこ)先生は、著書『女の子の育て方』(WAVE出版)の中でこう言われました。
私はこれまでの講演会などで、「子どもが10歳になったら家に戻ろう」と提案してきました。世間では、「子どもが小学生くらいまでは家にいて、10歳くらいになって手が離れたら働きに出始めよう」と考える人がおおいようです。
しかし、私をはじめ、心理カウンセラーをしている多くの仲間たちの考えはまったく逆です。
10歳から15歳くらいまでの思春期は、子ども、特に女の子の心が人生で最も不安定になりやすい時期です。お子さんが苦しい場面に直面したとき、いつでも自分からSOSが出せるように、そばにいてほしいのです。お子さんが学校から帰ってくる時間にはできるだけ家にいるようにするのがベストです。・・・・・・・・・
仕事の都合で早く帰れないという場合は、いっしょにいられる短い時間だけでも、お子さんの張りつめた心をゆるめることができるような空気をつくることを心がけましょう。
一日5分、「夫婦で弱音を聴き合う」
さらに諸富先生は言われます。
「弱音を吐ける家庭」にするには、どうしたらいいでしょう。
お子さんに「あなた、何でもいいなさいよ!弱音を吐きなさいよ!いい?わかった?返事は?」などと迫っても仕方ありません。
「弱音を聴き合える家庭」をつくるには、ご夫婦でそのモデルをお子さんに見せるのが一番です。
「今日、会社で部長がやたら厳しくってさ・・・。何だかイヤになっちゃった・・・」
「そんなことがあったんだ。それはつらいね~。お疲れ~」
こんな感じで、一日に5分だけでいいので、お子さんの前でご夫婦で弱音やグチを聴き合うのです。
解決策を具体的に話し合うのではありません。ただお互いに「それは大変だったね~。つらかったね~」と聴き合うだけでかまいません。
だらだらと長時間にわたってグチるのではなく、ほんの5分でいいので、
「うちは弱音を吐いたり、悩みを吐き出していい家庭なんだよ」
というモデルをご夫婦で見せてください。
心を亡くすと書いて、忙しいと読む
私は忙しいのが美徳とは思えません。
夫婦関係も育児も忙しいですが、ほほえみあう時間は確保したいものです。
確かに時間は限られています。しかし、思いつめないで深呼吸しましょう。
専業主婦でも仕事をしている主婦でも、家庭にほほえみの光を灯すのは「お母さん」です。
世のお母さんたち、いつもありがとう!そして、お疲れ様です。
手を取り合っていきましょうね。
みわんこさんより
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