大人もいっしょに楽しめる美しい雪の結晶の絵本・書籍5選ご紹介いたします。
妊娠中の胎教にも最適で、お子さんが
幼稚園のころに買っても小学生から大人までずっと長く楽しめます!
今回ご紹介する雪の結晶の絵本について調べると、
雪の結晶の研究で忘れてはならない3人の人物の存在が大きく浮かび上がってきました。
今、私たちが雪の結晶の美しさを知ることができるのは
この3人の人物をはじめとする多くの人々の地道な研究のおかげです。
まず、この3人の人物の紹介から始めます。
雪の寒さの中で熱く燃え続ける研究の情熱に脱帽です!
雪の結晶と言ったらこの3人!
雪の結晶のアマチュア研究家で農夫のベントレーさん
米国バーモント州の小さな農村ジェリコの豪雪地帯に
1865年、農夫の子として生まれたウィルソン・アルウィン・ベントレーさんは
学校教育としてはジェリコの公民学校を出ただけで、ほとんどお母さんの教育で育ちました。
ベントレーさんが15歳のときに、お母さんが顕微鏡で雪の結晶を見せてくれました。
その美しさに魅了され、他の人にも見せてあげたいと雪の結晶のデッサンを始めたのがきっかけになり、
ベントレーさんは生涯かけて雪の結晶の研究をしていくのです。
ベントレーさんが17歳のとき、両親は10頭の乳牛よりも高価なカメラを
財産をはたいて購入して、彼の情熱を支えました!
ベントレーさんは農業のかたわら雪の結晶の写真を5381枚撮影しました。
そのうちの2453枚が、『Snow Crystals(雪の結晶)』という写真集として
アメリカ気象学会会長の尽力でベントレーさんが亡くなる直前1931年に出版されました。
世界初!雪の結晶のしくみを解明した中谷宇吉郎博士
1931年にベントレーさんの雪の結晶の写真集が出版されて
その美しさに感動して研究を始めたのが、北海道大学の物理学者、
中谷宇吉郎博士(1900~62)です。
北海道にあった研究テーマとして、人々の暮らしとさまざまな関わりのある雪を考えていたときに
ベントレーさんの雪の結晶の写真集が出版されたのでした。
その翌年1932年、雪の研究に着手した中谷博士は、
美しい結晶ばかりでなくあらゆる形を顕微鏡写真で撮影しました。
結晶を観察・分類し、雪の結晶がどのように成長するのかを探り当てようと、
雪を人工的に作る実験をし、1936年に成功しました。
そして、雪の結晶のさまざまな形は、温度と湿度によって決まるという結論に達したのです。
それを図表にした「中谷ダイヤグラム」は、雪結晶の成長を示す国際的な標準図となっているのです。
また中谷博士は、雪結晶の形が上空の気象を知らせてくれる便りということから、
「雪は天から送られた手紙である」という有名な言葉を残しました。
ベントレーさんの写真は黒地に白く浮き上がる結晶の写真で、
反射照明型顕微鏡 による撮影でした。
中谷博士は、この撮影法では雪結晶の微細な構造があまり鮮明に撮影されないとして、
透過の斜光照明による撮影で行いました。
雪結晶カラー撮影へ・・・吉田六郎さん
この中谷博士の北海道大学低温研究所に派遣されたのが、吉田六郎さんです。
中谷博士に師事した吉田六郎さんは、博士から映画や写真撮影能力を評価され、
博士の指導のもとに、雪結晶のカラー映画撮影を手がけました。
その後、『雪・結晶の観察』(1960東映)で「1光源2色照明法」という撮影技術を開発し、
雪結晶の標準的撮影法として定着しました。
これが、ブルーを背景して雪結晶が輝く独特の写真です。
下からブルーの透過光、斜めから光をあてて撮るために、立体感のある写真が撮れるのです。
結晶表面の光沢、複雑な内部構造、気泡に映る虹色の光彩・・・
吉田さんは特に雪結晶の中心部の気泡の形の美しさに魅かれて撮影したそうです。
撮影は大雪山のふもとの雪洞の中で行われました。
科学性・芸術性の両面から他の追随を許さない作品と言われています。
中谷博士没後も、吉田さんは雪結晶の写真を撮り続け、1000点を超える作品を遺しました。
雪の結晶の絵本・書籍おすすめ5選!
吉田六郎さんの『きらきら』
吉田六郎さんの 写真絵本『きらきら』は、
ブルーを背景にした雪の結晶の写真が、息を吞むほど美しいです。
娘が幼稚園のころに購入し、小学2年生になった今も大切にしています。
この絵本にCDがついたCDブックが発売されています。
大好きな詩人谷川俊太郎さんの文も、無駄のない研ぎ澄まされた言葉で
雪の結晶の透明感と静けさ、繊細な美しさをますます引き立てています。
CDには雪の名曲6曲とともに、
吉田六郎さんの息子さん吉田覚さんの作曲した「きらきら」という曲も入っています。
父六郎さんの「きらきら」に感動して作曲されたそうです。
覚さんは小学校の教師であり、音楽家としても活躍されました。
《CD収録曲目》
- 1.雪
- 2.白い想い出
- 3.雪と子ども
- 4.こもりうた
- 5.雪の降る街を
- 6.雪の窓辺で
- 7.きらきら
- 8.きらきら ピアノ伴奏
ポップアップ絵本!雪の結晶『SNOWFLAKES』
ページを開くたびにあっと驚くしかけが・・・!!
雪の結晶の美しさがこれでもかと詰め込まれているポップアップ絵本『SNOWFLAKES』です!
折りたたまれた小さな5つのページには、
雪の結晶の写真家ベントレーさんの物語が詳しく書かれています。
ポップアップの雪の結晶の美しさに感動し、
ベントレーさんの物語にまた感動してあたまがボーっとしてしまいます。
ベントレーさんは雪の結晶に恋したのですね!
生涯独身を貫いて、雪の結晶の撮影に一生を捧げたそうですよ!
『雪の写真家 ベントレー』
Mary Azarian のすばらしい版画が味わい深い絵本『雪の写真家 ベントレー』は、
1999年コールデコット金賞を受賞した作品です。
雪の研究家・写真家としての情熱と意志が溢れ出る絵本です。
洋書の雪の結晶写真集 『Snowflakes in Photgraphs』
黒地に白く浮き上がる雪の結晶の美しい写真集、
ベントレーさんの雪の結晶の写真集は現在も洋書で販売されています。
『雪の写真家ベントレー』を読んだあとにこの写真を眺めるとさらなる感動が期待できます!
昔の白黒写真が味わい深いと、この写真集を愛する人も多いようです。
SNOWFLAKES IN PHOTOGRAPHS(P) [ W. A. BENTLEY ]
中谷博士のエッセイ集『雪は天からの手紙』
世界初の人工雪を作った中谷宇吉郎博士は、
寺田寅彦氏に師事した随筆家としても有名です。
科学の味わい深いおもしろさを記したエッセイ22編が収められています。
雪は天からの手紙 中谷宇吉郎エッセイ集 (岩波少年文庫) [ 中谷宇吉郎 ]
中谷宇吉郎雪の科学館
中谷博士の生まれ故郷石川県加賀市には、中谷博士の研究の業績を記念して
「中谷宇吉郎雪の科学館」が設立されています。
その建物の外観は、雪の結晶を模して六角形の建物になっています。
雪と氷にまつわる展示・体験型の施設、コンサート、写真展など
一度はいってみたい科学館です。
「中谷宇吉郎雪の科学館」
〒922-0411 石川県加賀市潮津町イ106番地
TEL:0761-75-3323 FAX:0761-75-8088
- 開館時間:9:00〜17:00(入館は16:30まで)
- 休館日:毎週水曜日(祝日の場合は開館)、年末年始(随時)
- 入館料:一般500円、75歳以上:250円
- 団体割引:一般420円
- 高校生以下障害者:無料
吉田六郎写真展「雪の結晶」
吉田六郎さんの生誕100年にあたる2019年は
吉田六郎さんのお孫さんが監修されている 吉田六郎写真展「雪の結晶」が開催中です。
映画「雪・結晶の観察」も上映されます。
吉田六郎写真展「雪の結晶」
会期 2019年1月7日(月)〜3月30日(土)
会場 ニコンミュージアム
住所 東京都港区港南2-15-3 品川インターシティC棟2F
時間 10:00〜18:00(入館は17:30まで)
休館日 日曜・祝日(ほか休館日あり)
料金 無料
問い合わせ ニコンミュージアム(TEL 03-6433-3900)
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