近所に幼稚園がいくつかあるとき、幼稚園選びに悩みますよね。
結論から言うと、一生懸命考えて選ぶのなら幼稚園選びに失敗はない、と思います。
うちの娘は年中組の冬に転園したので、ふたつの幼稚園を体験したことになりますが、
ふたつ目の幼稚園に初めから通園していたら、ふたつ目の幼稚園の良さを強く実感できたかどうかわからなかったかもしれないのです。
他の幼稚園を知らないと、これが当たり前なのねと、感動が薄かったかもしれません。
最初の幼稚園を決めた理由
最初の幼稚園は、パパがそこを卒園しているという理由で安心感があり、決めました。
園児数も多く、近所では一番人気のように見えました。
耐震補強工事など災害対策もしっかりしていました。
幼稚園送迎バスもとてもかわいい絵柄が描かれていて、ぜひあの幼稚園バスに乗せてあげたいと思いました。
制服はパパのときと同じですし、パパはとても懐かしいと思ったのでした。
しかし、パパが園児だった昔とは教育内容がずいぶん変化していて、
数や運筆などのワークブックのお勉強的なことに熱心で、
入園直後から、音楽会のための練習もとても熱心でした。
年長組になると鼓笛隊をやるので、年中からピアニカの練習も厳しくなりました。
娘がピアニカが上手になったのは、最初の幼稚園のおかげでもあるのです。
それと、あのかわいい幼稚園バスに乗らなかったら、ずっと心残りになっていたかもしれません。
転園の理由は・・・
初めの幼稚園は、園児数が多く、教育カリキュラムも隙間なく、行事も次から次へと続きました。
入園当時、園生活で気をつけてほしいことを用紙に書いて提出することがあったのですが、
娘は便秘がちで苦労していたので、水筒のお茶の水分摂取をなるべく気を付けて促してほしいことを書いて提出しました。
しかし、お電話がかかってきて、集団行動なのでそこまでお世話できないので、自宅で飲ませてとのことでした。
集団でキッチリ行動する忙しい幼稚園でした。先生がたも大変だったと思います。
娘は入園前からひじがはずれやすい子だったので、それを十分気を付けてほしいことも書いて提出しましたが、
結果としては、担任の先生に手を引っ張られてひじがはずれることが2回もありました。
3回目は先生の目の前で転んでひじがはすれました。
それでも娘は、お友達が大好きだからはその幼稚園をやめたくないと言っているので、私は心配で心が折れそうになりながらも、転園させる決心がつかないでいたのです。
しかし、年少組の3学期から娘の元気がなくなり、よく聞いてみると、ひとりの女の子のお友達に入園当時からずっと、ほっぺをつねられていたということがわかりました。
幼稚園に相談しましたが、お友達関係のことに熱心に向き合うことは、教育カリキュラムの進行を妨げるとのこと。
おとなしい娘に落ち度があるように言われてしまい、何を話しても平行線で話し合いにはならないのです。
娘はどんどん元気がなくなり、風邪もひきやすく、そのうち腹痛で泣くようになり、病院でもストレス性の腹痛とアドバイスされ、
娘は、お友達には会いたいけれど幼稚園はこわいと泣くようになり、こわい夢をみて夜中にうなされることもでてきて、
幼稚園に行くのを拒否するようになりました。最後まで、仲良しのお友達と離れるのを嫌がっていましたが。
転園先の幼稚園は先生がたの笑顔がすばらしかった
近所には他にもいくつか幼稚園があり、ママたちの口コミやホームページの内容を見て、転園先を探しました。
そのなかでも、子供と先生がじっくり向き合う雰囲気が伝わってくる幼稚園を見つけて、園長先生に会いに行き、すぐ受け入れていただけました。
その転園先の幼稚園の先生がたはとても生き生きとしていて、子供が大好きという笑顔できらきらしていました。
最初の幼稚園の先生がたは、きちんとメイクしてキラキラのお粉までつけて、念入りのメイクできれいな先生がたでしたが、
転園先の先生がたはノーメイクに近いナチュラルメイクで、しかし、生命力でキラキラしていたのです。
お庭で登り棒で遊ぶときは、はだしで登らせ、先生が園児の足の裏や腰を支え、ときには園児の足に蹴られてしまい、鼻血を出しながら、子供たちに密接に関わってくださるのです。
お庭から教室に戻るときは、先生が子供たちのはだしの足を洗ってくれたので、娘は初めの幼稚園ではありえなかったことと、ものすごく驚きながら喜んでいました。
便秘のための水分補給も、私が頼むよりも先に心配してくださり、女の子は便秘に悩む子が多いですよ、と子供の体にもくわしく慣れていて、転園してからは一度もひじがはずれたことはありません。
リトミックと鼓笛隊 ~子供主体か大人主体か~
同じ音楽教育でも、リトミックと鼓笛隊ではずいぶん違うものだと、転園してみてわかりました。
初めのきびしい幼稚園は、年長組で鼓笛隊をやるのですが、(娘は年中で転園したので鼓笛隊は体験しませんでしたが。)
転園したあたたかい幼稚園の音楽教育はリトミックでした。
鼓笛隊は決められたことを先生のいうとおり、正確にきちんとやりこなしていくものです。先生がきびしく叱ったりして、子供たちは統率されます。
リトミックは、オペレッタという音楽劇をやりましたが、子供たちの自発的な感性を引き出すことに力を入れています。
ダンスを園児たちが自分で考えて作りました。
風はこんな感じ、雲はこうすると雲っぽいな、とか、子供たちが考えて創り出すのです。
「仕立て上げる」という言葉がありますが、例えば、りっぱな料理人に 仕立て上げる というように使う言葉ですが、
鼓笛隊は、「仕立て上げる」大人が主体で、
リトミックは、子供の感性を「引き出す」ということで、子供が主体という違いがあると思います。
リトミックのオペレッタで、音楽会本番の舞台上でも、年少組の小さな子は、立ち位置や持ち物を巡ってちょっとしたけんかが始まったりするのですが、先生は全く慌てないで、アドリブで声をかけてうまく子供たちを誘導し、やる気にさせてしまう魔法のようなことをされました。素晴らしかったです。
子供主体なので、このふたつ目の幼稚園は、年少組より小さい年齢の子のクラスはありませんでした。赤ちゃんから年少以前の時期は、お母さんがお母さんになる、親も子とともに成長する時期と捉えているからです。だから年少組より小さい時期は、お母さんから離してはいけないという信念なのです。
ふたつ目の幼稚園は、園児数は初めの幼稚園より少なかったですが、先生の目が行き届いていました。
男の子同士のけんかがあれば、ママたちが来る保育参観の日でも、開始時間を遅らせてでも、トラブルについて、男の子たちと担任の先生と園長先生とでどんなことがあったのか、子供たちひとりひとりの話をじっくり聞いて、全員が納得いくまでよく話し合うのです。
お勉強よりも心を育てることがいちばんの幼児教育をしてくれました。先生は脇役に徹して、子供たち主体の幼児教育を実践されていました。
大人目線の幼稚園には要注意です
こうして、ふたつの幼稚園を経験して、娘はたくさんの経験をして、つらいことがありましたが、だからこそ転園先の幼稚園の素晴らしさがよくわかりました。初めの幼稚園を知らなかったら、物足りないとか勘違いしたかもしれません。
実際に転園先の幼稚園の保護者が、幼稚園であれをやってほしいこれをやってほしいと、いろいろ希望を話すことがあるそうですが、
子供たちの心の教育のためにほんとうに必要なことを厳選してやっているので、あれもこれも取り入れることはしないと、園長先生はおっしゃいました。
子供のペースに合わせてゆったりと時間が流れている幼稚園でした。
初めの幼稚園でのつらいことは、親子で乗り越えてきました。娘を抱っこしただけで、娘の元気の度合いがわかるようになりました。
転園を決心した私の話を、夫はじっくり聞いて一緒に行動してくれました。
試練の時でしたが、親子三人で絆が深く強くなりました。
娘は幼いながらも、この世の中には優しい人ばかりではなく、いろいろな人がいることがわかり、人を見分ける直感が養われました。
結果として、たくさんの経験ができてよかったのです。
最初の幼稚園では、うちの娘の他にも腹痛やひどい肩こりの痛みに苦しむお子さんが出てきました。
転園する子も毎年何人かいました。
幼稚園でお友達に大きなけがをさせられても、先生や園長先生があまりにも無責任で不誠実な態度をするので、もう信じられないと転園させたご家庭もありました。
卒園したお兄ちゃんが、妹を転園させるようにママを説得して転園に踏み切った家族もいました。
鼓笛隊の練習では、ちょっとムズムズ動くとピシッと足を叩かれて、チックやどもりの症状が出てきたお子さんもいました。
ピアニカを間違いなく弾けても下手と怒られて、小学生になってもピアニカが大嫌いになっているお子さんもいます。
大人目線の幼稚園では、子どもが行き詰ってしまいます。
幼稚園を選ぶときは、幼稚園の規模や園児数・外観にだまされることなく、幼児教育の方針の本質を見極めたいものです。
先生がみんな生き生きしていること、あまりメイクアップに熱心でなく、ナチュラルメイクでもキラキラ生き生きして笑顔いっぱいの先生であることは、判断基準になります。
転園にかかった費用について
転園先の幼稚園は、園長先生がとても親切で、余分な支出がなるべく少なくて済むように、いろいろと配慮してくださいました。
入園金は免除で、体操着やブラウス、用品など、幼稚園のリサイクルシステムがあるので、サイズが合うものについては、中古を譲ってくださいました。
制服とかばんだけは新しく購入しました。
幼稚園によって違うと思いますが、制服・体操着などリサイクルのシステムを取り入れている幼稚園はかなりあると思います。
お子さんが幼稚園でのストレスで体調を崩していても、費用がかかることを理由に転園は絶対にしないというご家庭もありましたが、やはり、お子さんの健康を最優先にするのが親の責任ではないかと思います。
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