「世界一受けたい授業」で取り上げられた本『友だち幻想』とは?人間関係に悩む中高生に!

小学生

 

2018年4月14日、「世界一受けたい授業」で又吉直樹さんが

『友だち幻想 人と人との<つながり>を考える』(ちくまプリマー新書)という本を取り上げました。

10年前に書かれたこの本が、とても売れているそうです。

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菅野仁さんはどうしてこの本を書いたの?

菅野仁さんは、社会学が専門で、宮城教育大学の副学長でしたが、2016年9月、56歳で病気のため亡くなっています。

『友だち幻想』は10年前に書かれましたが、2017年に入って急に売れ出しました。

当事、菅野さんの小学生の娘さんが、

クラスに馴染めなかったところを担任の先生に馴染むように強く注意され、

悩む娘さんに自分はどうしてあげられるかと考えたことが執筆のきっかけだったそうです。

 

「クラスで一致して」とか「みんなで団結しよう」という同調圧力に、

息苦しいストレスを強く感じる子もいますよね。

グループに入ることを強制されるのは負担に感じることもあります。

こうした人間関係での初めてのつまずきに悩む、思春期の多感な中高生に向けられて、

「友だち」「親しさ」「つながり」とはいったい何かを改めて考える本です。

 

大妻女子大学 家政学部ライフデザイン学科では、

『友だち幻想』を入学者の必須図書にしているほどです。

ラインの普及などによっても、思春期青年期の子供若者の友達関係は複雑化していますから、

この本で改めて人と人とのつながりについて考え直す必要があるのです。

 

「友だち」「他者」と置き換えることができます。

いくら仲良しでも、100%理解し受け止めてくれる友だちなんてありえません。幻想です。

自分以外は全員「他者」であることが、人間関係の出発点となります。

この本は中高生だけでなく、大人自身の人間関係にも十分に参考になる内容です。

特に友達関係に悩む子を持つ親にとって、的確な道しるべとなるでしょう。

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自分の限界・他者とのほどよい距離を知ること

「世界一受けたい授業」では、本の中のこの二つ、限界距離について説明されました。

 

 自分の限界を知る重要性

番組の中で説明で、

「友だち付き合いが苦手になる理由のひとつは、

学校が自分の限界を教えてくれないから」

という内容があり、私の小中学校の頃を思い出すと

なるほどそうだったかもしれないと

思い当たることがありました。

 

大人になると、自分にはできることに限界があるとわかります。

そして、相手の欲求を100%満たすことはできないとわかります。

 

しかし、学校では「あなたたちには無限の可能性があるのよ」と言われます。

学校では、頑張ってもダメなこともあるという現実は、教えられません。

挫折や限界を知らない子供たちは、友だち付き合いも思い通りになると勘違いします。

無限の可能性も重要ですが、限界も教えないと打たれ弱くなってしまいます。

無限の可能を強調し過ぎると、挫折したときに立ち上がれないことを、菅野さんは危惧しているのです。

友だち幻想 人と人の〈つながり〉を考える (ちくまプリマー新書) [ 菅野仁 ]

 他者とのほどよい距離感を知ること

番組では友だち関係について、菅野さんの本の興味深い内容のお話が続きました。

 

「学校に苦手な子がいる」と我が子に言われたらどうアドバイスしたらいいでしょうか。

「その子と距離を置いてみたらどうかな?」と答えるのがよいです。

距離を置く、それが気の合わない人と一緒にいる作法です。

挨拶するだけの関係性というのも距離の取り方のひとつです。ただし、敵対視はNG。

無理して気の合わない人と距離を縮めることはありません。

距離を置くと、協調性がないとか冷たい態度とか思われるかもしれないのですが、

他人とトラブルを起こさずに折り合いをつけることを学ぶことが、大人になるということです。

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自分と異なる「他者」を認める

気が合わない人と距離を置くのは、冷たいことではありません。

距離を置くというのは、

  • 挨拶はする、
  • 決して敵対視はしない、
  • もし困っている現場に居合わせたら親切に手助けをする、
  • 好きにはなれなくても、その人の存在を尊重する、

ということです。

かつて私は、苦手な人に距離を置くことにうしろめたさを感じていました。

私は上から目線の口うるさい人が苦手で、しかも隣り近所や親戚など、

離脱できない関係にそのようなタイプの人がいるのです。

 

テレビの「スカッとジャパン」のスカッとばあちゃんのように、

上手に切り返せるわざがあればいいのですが、

そこまで知恵がなく、ストレスが溜まりまくって、

その人に対して嫌悪感や怒り、果ては憎しみまで湧いてくる始末です。

 

そんなネガティブな感情があるのに、会えば挨拶をして、

表面では柔和な顔をして、困っているなら手助けして・・・と接しているのが、

いい人ぶっているような、偽善のような気がしていました。

本音で接していないんじゃないかとか、もっと話せばわかってくれるのかなとか、

つまりもっと距離を縮めればわかりあえるのかも・・・などと迷いがありました。

 

でも、本音をぶつけないことは偽善ではない、

これは互いの平和を保つために心の距離を置いていることで、

相手の存在を認める愛の作法なんだと見方が変わり、

うしろめたさから開放されました。

心の距離を置いて接することは、

他者を広い視野でゆったりと包み込むように静観することで、

冷たいのではなく、実はとても愛情深いことではないでしょうか。

苦手な相手でも、距離を置いてみれば、長所が見えてくることもあります。

近視眼では見えないものも、少し離すと見えてくることがあるでしょう。

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ほんとうに100%を求めているのだろうか

私は思春期に中学校で、

あまり気が合わない子とグループに固定されてしまい、苦しんだことがあります。

そのとき、もっとわかりあえる友だちがほしい、

もっと本音でいたわりあえるのがほんとうの友だちだろうと思っていました。

「もっと」とは思いましたが、「100%」とまでは思いませんでした。

一方的に受け入れてもらうのではなく、互いに理解し合いたいと願いました。

「100%」受け入れてもらうことより、

「互いに」理解することを求めている子たちも多くいるのではないでしょうか。

私の場合、自分を理解してもらうより先に、

相手を理解するように努めながら、相互理解を願っていると、

いつのまにか優しい友が何人もできました。

大事なのは、一方的に相手に100%の理解を求めないことです。

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友だち関係わが家の娘の場合は?

「みんな仲良く」「クラスで助け合って」という共同体意識は美しいですが、

うちの娘は、小学1年生の3学期にクラスのひとりの女の子に

かなりキツい言葉を何度もぶつけられて怖がり、

一日登校拒否したことがありました。

 

また同じく3学期に、クラスで教室の飾り付け係や、

昼休みにみんなで何をして遊ぶか決めるお楽しみ係、体調管理の保健係の他に、

お笑い係 というのができて、お友だちが騒いでいる中で

いつのまにか娘がその係に入れられてしまい、

帰宅してから恥ずかしいと大泣きし、翌日一日登校拒否したこともありました。

 

キツイ言い方をしてしまう女の子のお友だちのことは

苦手に感じても3学期の最後までなんとかして仲良くできる方法を

娘なりに一生懸命に考えて頑張って登校したので、

 

通信簿の行動についての欄の「身近にいる人に温かい心で接し、仲良く助け合う」のところで

1・2学期はマルがついてのが

3学期は、マルがなかったのが残念でした。

合わせて2日間、登校拒否したので

娘なりの温かい心とがんばりを認めてもらえなかったのかなと残念でした。

でも、担任の先生は決して厳格な先生ではなく、

優しく明るい笑顔で子供たちにもパパママからも人気の若い先生です。

先生個人というより、日本の学校の全体的な流れというか、

嫌なことを拒否できない日本の学校の体質や

同調圧力というものが、確かにあるんだなと感じました。

昔から「村八分を恐れる」日本人の性質とか、

そういった古くからの日本の社会の雰囲気が

学校に反映されてしまうのではないかと感じました。

 

娘は普段はやはり苦手な子もいろいろいるようで、

帰宅後「○○ちゃんいやだ・・・」と愚痴をこぼすこともよくあります。

無理に仲良くしなくてもいい、先生に注意されても意地悪がなかなかやめられない子もいる、

距離を置いていい、無理に一緒にあそばなくてもいいと、ちょうどそのような話をしていたところに

今回の菅野さんの本の紹介を番組でみたのでした。

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菅野仁さん『教育思想 クールティーチャー宣言』(ちくまプリマー新書)

菅野さんは、『教育思想』という本も書いていて、

学校の目的は、「すばらしい人を作る」ことではなく、

社会に適応できる人」を育成することだと説いています。

 

教育幻想 クールティーチャー宣言 (ちくまプリマー新書) [ 菅野仁 ]

 

学校のクラスは社会の縮図とも言われます。

優しい子も、キツイ子も、意地悪な子も、いろいろな子がいます。

教室は、気の合わない人と一緒にいても、

距離を置いて平和を保つ「適応の作法」を学ぶ場です。

幼稚園、小学生の娘の友だち付き合いについての記事はこちらになります。

 

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