夏休みが終わる9月1日前後は、子供たちの自殺が多くなるという統計が出ているということが
ニュースなどで多く取り上げられるようになりました。
自殺総合対策センターでは、
夏休みの短縮化の影響もあって子供たちの自殺のピークが8月下旬になっているので、
夏休み中からの対策強化が必要と言っています。
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子供たちのSOSに手を差し伸べる
夏休み中、子供に変わったようすはないか、
特に学校で困っていることを話さなくても、腹痛や頭痛を訴えやすくなっていないか、
大人が気がつくことが必要です。
学校に行きたくない気持ちがとても強いときは、無理しないで学校を休ませましょう。
自殺予防のためには率直に聞くことが大事
子供の口から「学校に行きたくない」という言葉が出ると、親は心配で
子供の気持ちをはっきり聞いていいのか、それとも、そっと見守るのがいいのか、
どのように対応するのがいいのかと慌てるものですが、
自殺予防の専門家たちは、「大人が率直に聞く」が大切だと話しています。
学校に行きたくないという話が出たら、「もしかして死にたいなんて考えている?」といったふうに率直に聞いてみることが大事。いかに苦しんでいるか、初めて気付かされることがある」と話す。
死にたいと告白することは、『死にたいぐらいつらいけど、少しでもつらさが和らぐのであれば生きたい。知ってほしい』というSOS。話してくれたことに感謝を伝え、否定したり口を挟んだりせずに話を聞いて、『そんなに追い詰められているんだ』と共感した上で、別の選択肢を一緒に考え、話し合ってみることが大事。
中日新聞 / 国立精神・神経医療研究センターの精神科医、松本俊彦先生より
「死にたい」という気持ちについて率直に聞いて、子供がその絶望的な気持ちを話してくれたときは、
黙ってしっかり聞いて寄り添い、さらに、安全を確保することを第一に考えましょう。
学校へ行きたくないという訴えは命に関わるSOS。訴えを見逃さないで。
NPO法人「全国不登校新聞社(東京都文京区)」緊急アピール発表より
ひとりで抱えないで!
厚生労働省のホームページには、
Mex(ミークス) という10代の子供たち向けのサイトや、
SNS相談を行っている団体一覧の紹介があります。
悩んでいるお子さんのご家族やお友だちの相談を行っているのは、
いのち支える総合窓口一覧・自殺総合対策センター です。
都道府県・指定都市別の相談窓口一覧が出ています。
電話相談はこちらです。
- チャイルドライン 0120-99ー7777
- いのちの電話 0570ー064ー556
- 法務省 子どもの人権110番 0120ー007-110
- 文部科学省 24時間子供SOSダイヤル 0120-078-310
子供が悩んでいること、つらいことがあったら、ひとりで抱えこまずに、
信頼できる大人に相談できるように、相談窓口を教えてあげてください。
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いじめは犯罪です
刑法第208条によると、
人に乱暴なことをして、それでも相手にケガはさせなかったとしても、
暴行罪になります。
身体に直接接触していなくても、例えば
相手にぶつからないように石を投げる、
水やお茶をかける、食塩をふりかける、
着ている服を強く引っ張るなどの行為は暴行罪とされ、
2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料とされます。
あおり運転 も暴行罪になります。
相手がケガをした場合は、傷害罪になります。
いじめに苦しんで困っている子供たちは決して悪くありません!
不登校が悪いのではありません!
悪いのは、いじめの加害者です。
根拠のない悪口や嫌がらせで、他人の名誉を汚す誹謗中傷も立派な犯罪で、
名誉毀損罪、侮辱罪などの罪に問われます。
法律が味方ということを忘れないで!
いじめを受けている子がいたら、法律は味方になります。
いじめを先生に相談しても解決しないことも、残念ながらありますが、
それでも法律はいじめられている子の味方です。
子供たちも保護者のかたがたもあきらめないで、信頼できる相談窓口に相談してください。
いじめで壊された物や、メールの文面は証拠となるので残しておくことが大事です。
小学校6年生で、日本国憲法と基本的人権について勉強しますが、
いじめという犯罪は、この基本的人権が侵害されることなのです。
侵害されたときはどのように声を上げたらいいのか、
そこまで突っ込んで小学校の授業で取り組んでほしいものです。
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おすすめ図書『こども六法』
法教育研究者の山崎聡一郎さんは、小学生の頃にいじめにあい、
学校も教育委員会も助けてくれず、進学先の私立中学の図書館で六法の刑法を読み、
いじめが犯罪と知りました。山崎さんの
『こども六法』(弘文堂)は、今まさに困っている子供たちも
保護者や学校の先生にも読んでほしい本です。
学校で薦められた子供たちが読みたいと、親御さんに求めて購入する場合もあります。
小学校3年生ぐらいから中学生と広い年齢層で、親子で読まれています。
いじめに遭ってからよりも、被害に遭う前に読んで勉強しておきたい法律の知識は、自分の身を守るための大切な指針になります。
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わが子の声に耳を傾けよう!
夏休み中に限らず、日頃からわが子の愚痴話は面倒くさがらずにじっくりと聞きたいものです。
毎日が時間の都合で無理なら、土曜か日曜だけでもいいのです。
夜中までじっくりと腰を据えて聞く時間を作り出しましょう。
悪口ではなく主張です!
ときどきお母さんたちが、「うちの子は学校から帰るとお友だちの悪口ばかり言うの」というのを聞きます。
でもそれは、「悪口」ではなく、「学校でつらかった話」ではないでしょうか。
学校で、憲法の基本的人権を学ぶことはあっても、
基本的人権が侵害されたときの主張のしかたは教えてもらっていないようですから、
家庭では子供の主張はしっかりと受け止めたいですね。
人権を守るために主張する力は、生きる力そのものです。
いじめの他にも原因があります
特に小学生の娘がいるお母さんは、「女は面倒くさいから・・・」と
娘の話に真剣に取り合わないようすもよく見かけます。
女の世界は確かに面倒なところがありますが、
だからこそよく話を聞く必要があります。
学校に行きたくない理由は、いじめだけとは限りません。
小学生の低学年では、お友だちもまだまだコミュニケーション能力があまり発達していないので、
すごく仲良くなりたいのに、反対に意地悪なことを言ったりやったりしてしまう子もいます。
決していじめではなく、相手にどう接したらいいのかわからなくて
感情に走ったり、わがままを押し通そうとしたりしてしまう子もいます。
学校に行くと子供たちはさまざまなタイプのお友だちの中で、摩擦を受けて疲労困憊するのです。
帰ってきて悪口を言っているのではなく、擦り減った神経と自分自身を回復しようとしているのです。
うちの娘の場合は、小学2年生の夏休み前に、
男の子に「体の中が空っぽだ!」と不思議なことを言われて
それを言葉の通りにいろいろ想像してしまい、
夏休みの前半、思い出してずっと毎日その男の子をこわがって
泣いたりぐずったりして、2学期が始まるのをすごく嫌がったことがありました。
私は毎日、「これは困ったな」と思いながらも、とりあえずは娘の話をそのままじっくりと
よく聞いて慰めていました。
夏休み後半にさしかかるころ、娘の大好きな美術館に家族でおでかけして
記念の手作り缶バッチを作ったのをとても喜んで、
それからピタッと泣かなくなりました。
特別に大好きなことをやって気分転換をすると、
子供の柔軟な心は修復も早いということを、目の当たりにしました。
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クラスの同調圧力にストレスを感じていることもあります
クラスで一致団結しようという同調圧力が強い雰囲気がある場合、
それにどうしても馴染めなくて学校に行きにくいという子供たちもいます。
強制的にグループに入らなければならないとされるのは、大人でも負担に感じても不思議ではないですね。
↓菅野仁さんの『友だち幻想』(ちくまプリマー新書)は、人との距離の置き方について書かれています。↓
クラスの友だちと一致団結するために自分を捨てるのではなく、
いろいろな性格の友人たちの中にいても、自分の軸がブレることなく、
自分を保ちながら、人との適度な距離を置くことこそ、大事なことだと実感できる本です。
大妻女子大学 家政学部ライフデザイン学科では、
『友だち幻想』を入学者の必須図書にしているほどの良書です。
↓菅野仁さんの『友だち幻想』について詳しくはこちらからどうぞ。↓
家族みんなで、人と人のつながりを考えなおして、
健全な自分軸の見直しをしてみましょう。
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夏休み終わりに子供が学校に行きたがらない理由はいじめ?サインや対処法は?まとめ
- 子供の自殺予防のためには、大人が率直に聞くことが大事です。
- 夏休み明け、学校行きたくないときは、ひとりで抱えこまないで信頼できる相談窓口を利用しましょう。
- いじめは犯罪です。法律はいじめられている子の味方です。
- 刑法第208条によると、人に乱暴なことをして、それでも相手にケガはさせなかったとしても、暴行罪になります。ケガをさせると傷害罪です。
- 誹謗中傷もりっぱな犯罪です。
- いじめでこわされた物や、メールの文面は証拠になるので、残しておくことが大事です。
- 子供・親・先生みんなで『こども六法』(弘文堂)を読みましょう。
- 家庭ではわが子の主張にじっくり耳を傾けましょう。子供が学校に行きたくない理由は、いじめの他にもいろいろあります。
- クラスの一致団結しようという同調圧力が負担になって、学校に行きたくないと感じる子供もいます。その場合は、『友だち幻想』(ちくまプリマー新書)の本が助けになります。
コメント
こんにちは。
8月も終わりに近づき、子どもたちは夏休みが終わる時期ですね。
子供たちがすんなり学校(二学期)に馴染めると良いですね。
コメントありがとうございます。
2学期9月の始業式前後の子供たちを心配する声が増えてきましたね。
つらかったら無理に学校に行かなくていいというアドバイスが主流になっています。
子供たちが思いつめなくていい雰囲気と居場所がある社会になってほしいですね。